創世記 第20〜21章研究解読 |
| 第21章22〜32節 |
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| 2005/ 3/ 5 | 第21章22〜32節 UP |
第21章22〜32節 |
| 創世記のこの部分は、この後26章26〜33節に記されている「べエルシバ」の名前の由来について書かれているところと重複しているところです。一見したところ21章でアブラハムが、26章ではイサクがべエルシバと名付けたとなっています。聖書を研究している学者の間では、これをもって聖書の矛盾するところであるとする人もいますが、本当にこれは聖書の矛盾点なのでしょうか。この部分だけでなく、前後の記述もよく見て考えると矛盾していないようにも見えてきます。該当部分の聖文は以下です。 |
| 第21章 |
| 22節 | そのころアビメレクとその軍勢の長ピコルはアブラハムに言った、「あなたが何事をなさっても、神はあなたと共におられる。 |
| 23節 | それゆえ、今ここでわたしをも、わたしの子をも、孫をも欺かないと、神をさしてわたしに誓ってください。わたしがあなたに親切にしたように、あなたもわたしと、このあなたの寄留の地とに、しなければなりません」。 |
| 24節 | アブラハムは言った、「わたしは誓います」。 |
| 25節 | アブラハムはアビメレクの家来たちが、水の井戸を奪い取ったことについてアビメレクを責めた。 |
| 26節 | しかしアビメレクは言った、「だれがこのことをしたかわたしはしりません。あなたもわたしに告げたことはなく、わたしも今日まで聞きませんでした」。 |
| 27節 | そこでアブラハムは羊と牛とを取ってアビメレクに与え、ふたりは契約を結んだ。 |
| 28節 | アブラハムが雌の小羊七頭分けて置いたところ、。 |
| 29節 | アビメレクはアブラハムに言った、「あなたがこれらの雌の小羊七頭を分けて置いたのは、なんのためですか」。 |
| 30節 | アブラハムは言った、「あなたはわたしの手からこれらの雌の小羊七頭を受け取って、わたしがこの井戸を掘ったことの証明としてください」。 |
| 31節 | これによってその所をべエルシバと名づけた。彼らがふたりそこで誓いをしたからである。 |
| 32節 | このように彼らはべエルシバで契約を結び、アビメレクとその軍勢の長ピコルは立ってペリシテの地に帰った。 |
| 第26章 |
| 1節 | アブラハムの時にあった初めのききんのほか、またききんがその国にあったので、イサクはゲラルにいるペリシテびとの王アビメレクの所へ行った。 |
| 6節 | こうしてイサクはゲラルに住んだ。 |
| 12節 | イサクはその地に種をまいて、その年に百倍の収穫を得た、このように主が彼を祝福されたので、 |
| 13節 | 彼は富み、またますます栄えて非常に裕福なり、 |
| 14節 | 羊の群れ、牛の群れ及び多くのしもべを持つようになったので、ペリシテびとは彼をねたんだ。 |
| 15節 | またペリシテびとは彼の父アブラハムの時に、父のしもべたちが掘ったすべての井戸をふさぎ、土で埋めた。 |
| 16節 | アビメレクはイサクに言った、「あなたはわれわれよりも、はるかに強くなられたから、われわれの所を去ってください」。 |
| 26節 | 時にアビメレクがその友アホザテと、軍勢の長ピコルと共にゲラルからイサクのもとにきたので、 |
| 27節 | イサクは彼らに言った、「あなたがたはわたしを憎んで、あなたがたの中からわたしを追い出されたのに、どうしてわたしの所にこられたのですか」。 |
| 28節 | 彼らは言った、「われわれは主があなたと共におられるのを、はっきり見ましたので、いまわれわれの間に一つの誓いを立てて、あなたと契約を結ぼうと思います。 |
| 29節 | われわれは、あなたに害を加えたことはなく、ただ良い事だけをして、安らかに去らせたのですから、あなたはわれわれに悪い事をしてはなりません。まことにあなたは主に祝福されたかたです」。 |
| 30節 | そこでイサクは彼らのためにふるまいを設けた。彼らは飲み食いし、 |
| 31節 | あくる朝、はやく起きて互いに誓った。こうしてイサクは彼らを去らせたので、彼らはイサクのもとから穏やかに去った。 |
| 32節 | その日、イサクのしもべたちがきて、自分たちが掘った井戸について彼に告げて言った、「わたしたちは水を見つけました」。 |
| 33節 | イサクはそれをシバと名づけた。これによってその町の名は今日にいたるまでべエルシバといわれている。 |
| 先に記された21章のほうは前後の章からみると、アブラハムの行動を年代順に追って書かれていますが、後の25章のほうは、アブラハムの最後とイシマエルの最後、その後にイサクの系図とエサウとヤコブの出生時のようすやエサウが長子の特権をヤコブに譲った経緯が記されています。26章の前半はイサクがききんを逃れてペリシテ人の地に来た時の様子と、その後イサクが裕福になったのを妬んだペリシテ人をさけてゲラルの谷に住んだことが記録されています。25節までは時間を追った出来事で、アブラハムの死後の出来事ですが26〜33節の記録はその後の続きではありません。 聖書において「時に」で始まる文体の場合は、それ以前にあった出来事をもって該当する部分を補足するために書かれた、回顧録である場合がほとんどです。とすれば、この26〜33節の出来事は1節にある「アブラハムの時にあった『初めのききん』の時に起きたものである可能性も考えられます。つまり、 |
| 26節からは、23節に記された「べエルシバ」がどのようにして名づけられたのか、という経緯が21章23〜32節の補足として記されていることになります。 |
| 23節の時点ですでにべエルシバはべエルシバと名づけられており、この時に名前がついたわけではありません。このふたつの部分の決定的な違いは、21章はアブラハムからの視点、26章はイサクからの視点で出来事が記録されているということでしょう。ということは創世記の原本は一つだけではなく、アブラハムとイサクとで別々のものが存在した可能性もうかがえます。代々族長は記録を書き連ねてきたはずなので、族長の数だけ歴史書が存在し、それらを筆記者モーセが編纂したのでしょう。このべエルシバの出来事の時は、まだ族長はアブラハムであるので、契約に関するくわしい内容は21章のほうに記されています この2つの資料を統合してまとめると次のようになります。契約をしたのは部族長であるアブラハムとした視点で見ているので、その視点から見た推測も含まれています。 |
| 順番 | 出来事 | 対応聖句 |
| 1 | ネゲブにアブラハムと共に住み、成長したイサクはたくさんの家畜を所有するようになったため、アブラハムと一緒には住んでいなかった。 | 20章1節 |
| 2 | イサクはききんをしのぐため、多くのしもべと家畜を連れてネゲブの中でもペリシテ人の多くいる地に移動した。 | 26章1節 |
| 3 | 神の祝福によって裕福となり、牧畜や耕作の規模が大きくなるにつれて多くの井戸が必要となった。 | |
| 4 | 周りにいたペリシテ人であるアビメレクのしもべたちは、裕福となったアブラハムやイサクを妬んだので、井戸を巡ってのトラブルが多くなってきた。 | 21章25節 |
| 5 | 井戸を埋められたイサクは再び天幕の場所を移す。(26章16節にアビメレクがイサクに去れといったのはアブラハムの死後。契約はアブラハムが死ぬと効力がなくなったのか、撤回されているようにも見える) | |
| 6 | トラブルが激しく、それが発展して部族長どうしの話し合いとなりアブラハムとアビメレクがイサクの住む場所にきた。 | 21章22節 26章26節 |
| 7 | アビメレクが自分とその子とその孫までの誓いをしろと言ったのは、このトラブルの当事者がアブラハムやアビメレクの孫まで含まれていたからである。つまり、誓う人々は当事者全員であって、契約をするのはアブラハムとアビメレクである。(この時にヤコブが生まれていたかはわからない) | 21章23〜24節 |
| 8 | アブラハムとイサクが抗議をしても、アビメレクたちは自分たちの地に住まわせてやっているという立場で話を進める。 | 21章25〜26節 26章27〜29節 |
| 9 | お互いに契約を結んでトラブルを解決することになり、アブラハムはイサクに家畜を提供するように指示をする。 | 21章27節 26章30節 |
| 10 | イサクの提供した家畜の中から雌の小羊7頭をアビメレクに渡し、この時に掘り始めた新しい井戸の所有権を認めさせる。(契約自体はアブラハムがするので、イサクの視点での記録である26章には契約内容が記されていない) | 21章28〜30節 |
| 11 | 牛はその夜の食事となり、雌の小羊7頭は次の日の朝に契約を済ませた後にアビメレクが連れ帰った。この時契約に雌の小羊7頭が使われたとイサクは知る。 | 21章32節 26章31節 |
| 12 | アブラハムがイサクのしもべたちに掘らせていた井戸から水が沸く。 | 26章32節 |
| 13 | その井戸の名を付けるにあたって、イサクは「シバ(7匹という意味)」、アブラハムが契約したので「べエル(契約の意味)」という語を使って「べエルシバ」という名となる。 | 21章31節 26章33節 |
| 聖書には「全く間違いはない」とする見方をする人もいれば、「多くの間違いがある」とする人も多くいます。しかし一見すると間違いのようにみえる部分でも、預言者や族長の役割、またはその前後の箇所、別の書に補足として記されている部分から考えると、ある程度の矛盾点も説明できます。しかしそれでも聖書は「人が書き写したもの」であるので若干の間違いは存在します。ただ「最初に記された聖書」には間違いはほとんどなかったと考えられます。その原本も今ではほとんど存在しません。世界中にある「ほとんどの聖書は写本」をもとに作られています。つまり、写本の写本となっており、移す間には新旧の言語問題や異言語に翻訳するときにできた間違いなどがあることも事実です。 |
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